Internal/External: グリセリンチンキ剤 その1

卒業論文で、グリセリンチンキ剤の効用について調べました。日本では販売されているものとしてはアルコールチンキ剤よりもなじみがありますが、その割にはよく知られていなかったことと、イギリスのハーブの本を見ても「ジャーマンカモミールが子ども向け」という以上に書いている本がなかなかなかったからです。実際にジャーマンカモミールのグリセリンチンキ剤を作ってみるとシロップ剤とは違って甘ったるさは少なく、しっかり苦みがでます。自分では一部チンキ剤が使えない消化器系疾患や上気道の症状に向いていると感じていたのでその実際のところを知りたかったのです。
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そもそもグリセリンチンキ剤とは、「浸剤(又は煎剤、ジュース)に対してグリセリンを60%以上混合した製剤」です。グリセリンチンキ剤の歴史は、ハーブ医学自体の歴史と比べるととても浅く19世紀に入ってから使われ始めました。



通常グリセリンチンキ剤には60%以上のグリセリンが保存性を高める為加えられています。グリセリンはアルコールの仲間ですがエタノールのように肝臓に負担になりません。また甘味を付加しますがグルコースには分解されませんので、糖尿病の方にも心配なく摂っていただけます(但しカロリーはありますので程々に)。他の特徴としては、空気中の水分を吸収しやすくしっとりとさせるので外用すると皮膚表面を潤します。

また、グリセリンはドロッとした液体なのですが、その中に香りのカプセルを包み込むようで芳香性の高いハーブで作るとアルコールチンキ剤や浸剤とは違ったアロマを楽しめます。内服では胃腸の不調によく用いられ、ジャーマンカモミール、ペパーミント、スイートフェネルなどが使われます。その他にもワイルドガーリックやフレッシュジンジャーもおいしくできます。食前酒のように食欲を高める為に飲むこともできます。

使用方法は使用する方の年齢や症状によって異なりますが小さじ1杯(5ml)程を直接又は水で薄めて、食前に1日3回飲んで下さい。保存は冷暗所で9ヶ月から1年程です。きちんと封をして下さい。さもないと湿気を吸って痛みやすくなります。

外用で用いる場合は、クリーム剤の全体量に対して15%から20%くらいを加えます。保湿力が上がります。グリセリンは水とアルコールの中間の性質を持っていますので、必要があればクリームに精油やチンキ剤と一緒に加えてもよく混ざります。乾燥や炎症がある皮膚症状に適宜塗布して下さい。

作り方は大きく2通りあります。簡単にできるのは1)浸剤又は煎剤から作る方法。でも私が好きでいつも利用するのは2)しっかり漬け込む方法。ElizabethBrookeの著書'A Woman's book of Herbs'の中で紹介されていました。
1) まず煎剤(使用部位が根や実の場合;元の水量の3分の2程になるまでに煎じます)又は 浸剤(使用部位が地上部の場合)を用意します。濾した液を計量し、その分量の1.5倍量のグリセリンを加えよく撹拌します。
2)まずは浸剤を作ります。このとき大きめのジャムの空き瓶などを利用して作っておき、濾さずにさらに加えた熱湯の1.5倍量のグリセリンを加え、2週間程冷暗所に保管します。この期間瓶を振って中をよく混ぜて下さい。
どちらの方法でも、出来たら遮光瓶にいれてラベルをつけて保存して下さい。

以前、東京で開いたセミナーでも少しお話したことがあります。(参考にこちら
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by saori_ishimaru | 2008-03-12 10:17 | Herbal remedies
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