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profile: メディカルハーバリストになるには

英国でハーブ医学のコースを始めたいのですがという相談をよく受けます。多いのは受験を控えた高校生、薬学生から。そして、時々ハーブに興味があるというセラピストの方から。

私自身は、日本で薬学部を卒業し、短い期間でしたが漢方薬局(保険調剤、OTC薬の販売含む)とハーブショップでの経験を経ての留学でした。
現在英国留学中の日本人学生には、高校卒業とともに来た方、日本でハーブ関連の会社に勤めた経験のある方、英語教員をしていた方、美容師をしていた方などを知っています。バックグランドは様々です。私のクラスメイトには医師や看護婦、助産婦や植物学、生物学をやっていた者、各種セラピストが多くいました。

留学前の準備としては、語学力の向上と資金調達が主なものでした。
個人的な意見ですが、このコースを行うに当たってハーブの知識以上に語学力は必須です。他のコースと違って臨床実習があるため、患者さんとのコミュニケーションがとれないと何も始まりません。大学の講義は標準語で行われるため、クラスメイトの手をかりつつどうにかなりましたが、患者には移民や方言しか話さない方も多くいらっしゃいます。私は英語の勉強は大学受験用までしかやていなかったので、半年間は大学付属語学学校で学術英語、医学英語を学びました。
ハーブ医学学士のコースをカバーする奨学金制度は聞いたことがありません。また、留学生は経済的に国の補助が受けられない旨が学生ヴィザにハッキリ記載されています。バイトは週20時間までなども制限もあり、授業料や生活費への資金は十分に準備していくことをお奨めします。
また、コースを選ぶ前にイギリスで活躍されているメディカルハーバリストの方に連絡を取ったり、実際にロンドンにある2校とグラスゴーにある1校を見学に行きました。学校の雰囲気をみたり、在学生と話を聞く機会が得られ、おおいに参考になりました。


英国におけるメディカルハーバリストの養成は、英国メディカルハーバリスト協会(NIMH)により指定された大学学士のコースにて3年(イングランド)又は4年(スコットランド)をかけて行われます(2008年1月現在、英国国内で5校)。

私が行っていたThe Schottish School of Herbal Medicine (SSHM)は、4年間に渡るBSc (Hons) Herbal Medicine 学士課程ハーブ医学コースを提供しています。MSc Herbal Medicine修士課程ハーブ医学コースも併設されています。コースの内容を簡単に紹介したいと思います。



1年次の講義では、植物学、栄養学、基礎医学(解剖学、生理学)、ハーブ医学概論、代替療法学を学び、2年次からは病態生理学、臨床栄養学、臨床の現場で活躍しているメディカルハーバリストによるハーブ各論(ハーブ療法学、調剤学)が加わります。3年次は診療学、ハーブ各論、芳香療法学、調剤学。4年次には世界の伝統療法学、診療学、関係法規を学び、卒業論文を提出し、卒業試験を受けます。

臨床実習は4年間で計500時間を行います。SSHMでは1年次より講義に加えて臨床実習がカリキュラムに組み込まれています。1,2年次には調剤や診察の観察をし、3,4年次には監督ハーバリストの指の元、担当の患者の治療に当たります。(私は1年延期し、計750時間の臨床実習を行いました。)
治療の対象は、外科や届け出の必要な感染症を除く一般内科。診察には、通常初診に1時間、2回目以降は30分をかけます。診察は問診、西洋医学と同じような身体の診察(血圧の測定、心音、呼吸音の聴診など)に基づきます。メディカルハーバリストは診察、処方に加え、調剤も行います。調剤される剤型は内用では浸剤、チンキ剤(アルコールにハーブ成分を抽出したもの)、カプセル剤、外用ではクリーム、ローション、リニメントが主なものです。

SSHMでは、夏休みを利用して2年次でホリスティックセラピー、3年次でアロマセラピーのコースを受講します。これは患者へハーブ医学に併せて幅広い治療を提供できるようになるため、身体の診察に備えて患者の体に触ることになれるため、またコミュニケーションスキルを磨く手段として適切であるという理由からです。

卒業試験がNIMHの認定試験を兼ねていて、卒業と同時にメディカルハーバリストと認定されます。


以前のレポートを併せて参考にしてください。
The Scottish School of Herbal Medicine
臨床実習 at ネピア大学
ハーブ医学コース 臨床実習
ハーブ医学コース 2年生
ハーブ医学コース1年生
by saori_ishimaru | 2008-01-11 16:18 | Profile
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