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training: よく味わうこと

「不妊治療に用いられる漢方薬」というセミナーに行ってきました。毎月行われている薬剤師生涯教育セミナーの一環で、年に1回初級レベルの漢方セミナーが組み込まれています。講師のひとりむつごろう薬局という漢方薬局の薬剤師がハーブ医学と共通した植物観察をされていて、漢方がさらに身近に感じられるようになりました。現在通っている漢方外来の実習を通しても、ちょうど漢方とハーブ医学とのうれしい共通点にいくつか感じていたところでした。それは、

1.風味を味わうこと
2.起源植物をよく観察すること



1.風味を味わうこと
漢方外来での一コマ。症状によっては2つの違った処方をお出しすることもあるので、患者さんにとっては服用に手間もかかるし、結構な量を飲むことになります。ある日、そんな患者さんのひとりが「先生、2剤をまとめて1処方にできませんか」と質問しました。私の師匠は「そういう合方というものもあるが、それぞれの処方の違った風味を味わって欲しいのでそれはできない相談だ」と答えていました。「胃の中ではどうせ一緒になってしまうと思うだろうけれど、香りや味を味わうために少し間を空けて飲んで下さい。」とも。ハーブ医学も正にその通りの考え方です。ハーブティーを飲むときにも香りや味を味わって飲んだり、一日のうちにそんな時間で心のゆとりを持っていただくのも目的のひとつです。

ちなみに漢方の製剤はエキス剤という顆粒剤を直接、又はお白湯に溶いて飲んでいただくことが多いのですが、こちらの外来では煎じ薬を処方します。予め煎じて1回量ずつ真空パックしてお渡ししているので、患者さんは温めるだけで飲めて以前よりはずっと手軽に煎剤を飲むことができるようになりました。

2.起源植物をよく観察すること
ムツゴロウ薬局の先生は、静岡に畑をもっていて有機栽培でトウキとシャクヤクを育てているそうです。だから成長過程の植物の様子や実際の起源植物について交えてお話していました。例えば、トウキは植物が根の張った感じであるとおり、しっかりと根を下ろす必要があるような患者さんに向くといった表現です。ハーブ医学でもトウキの親戚アンジェリカは、自分に自信がなく更年期で揺れているような方に処方することがあります。とても似た使い方です。こんな風に植物のことを語れる漢方医もいるんだとうれしくなりました。
by saori_ishimaru | 2008-03-05 07:12 | Herbal Medicine
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