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Activity:医療における文化、言語の壁を理解する集い

都内又は千葉県内で医療における多文化、多言語社会のあり方を理解する為の勉強会を発足させたいと思っています。興味がある方や参加を希望される方はご連絡下さい。また同じ目的の勉強会、支援グループの情報をお持ちの方はぜひ教えて下さい。

昨年末、6年制における薬学部教育に患者さんとのコミュニケーション能力の向上をはかる為のカリキュラムが入ってきたことを書きました(以前の記事は模擬患者SP)。一般的な情報提供のコミュニケーションスキルを磨くだけでなく、医療現場にも多言語、多文化の視点からみたサービスがこれからもっと必要とされてくると思います。2006年外国人登録者数は200万人(全人口の1.63%)を超えました。東京都には約39万人(都の人口の約3%)の外国人が暮らしています。昨年12月に始まった東京都の薬局機能情報提供システムにも「対応できる外国語情報 」がサービスの一環として掲載されていて、その必要性が反映されていると思います。



そういった世の中の流れに沿ってゆくゆくは医療通訳研究会を発足したいと考えています。実際には言語や文化について指導して下さる方や医療通訳として活躍されている方の協力がないと成り立ちませんが、初めは異文化、異言語の中で不安を抱えて医療機関を受診している方たちに対する理解を深めるための勉強会のような形で始められればよいと思っています。

以下に、研究会を発足させるに当たって考えていることをまとめました。
1.医療通訳の必要性
現在日本で医療通訳の取り組みが自治体レベルで行われているのは大阪吹田市(みのお英語医療通訳研究会)と京都市(多文化共生センター京都)などですが、関東地方では神奈川のみ(MICかながわ:ウェブサイトは調整中)です。現在実施されている医療通訳サービスも必要性が認知されていないこともあり、ボランティアが中心となって運営がされているそうです。

母校東邦大学の付属大橋病院に伺ったところ、語学に堪能な医師、看護師が対応して済ませているそうです。実際に日本以外の移民が多い国でも、家族や友人が立ち会ったり、医療従事者が兼任していることが多いそうですが、正確な情報提供や守秘義務などの観点から専門の通訳者が行うことが好ましいと考えられています。医療通訳者と患者の関わりは、診察のみでなく、会計、入院などの手続き、検査や処置の説明、適応できる保険システムの紹介と多岐にわたっています。そして、語学力のみだけでなく、医学の知識、異文化への理解がなくては、誤解を生じ効率の良い安心できるサービスを提供できません。

言語でいうと英語と中国語の需要が高いそうです。都内では地域差はありますが外国人登録人口の39%が中国人、34%が韓国、朝鮮人、次いでフィリピン人(10%)、米国人(6%)という統計があります(2007年10月現在)。

英国在留中に薬剤師というバックグラウンドをかわれて友人、知人の医療機関の受診に同行した経験がありますが、専門的に勉強する必要性を実感しました。

2.医療通訳研究会としての目的、取り組み(案)
1)目的:医療への平等なアクセスを向上するために多言語、多文化社会への理解を深める
2)対象:多文化、多言語社会への医療領域の支援に興味のある方
3)勉強会
第1段階:異文化、異言語の中で不安を抱えて医療機関を受診している方たちに対する理解を深める
−日本の健康保険システムにおいて外国人登録者に適応となるサービスについて学ぶ。
−国ごとの医療、医薬品についての考え方の違いについて考える。
第2段階:外国語による医療機関受診時の対応を学ぶ。
−初診登録、薬の受け渡し、会計などを外国語(まずは英語)でロールプレイを通して経験する。
−英語以外の外国語への対応を予め翻訳されている問診票などを使ってロールプレイする。
第3段階: 特定の疾患や診療科ごとに医療通訳として必要な対応を学ぶ。
4)必要な人材:外国語を教えてくれる方、異文化について共有してくれる外国人の方、医学の知識を教えてくれる方、医療通訳として活躍されている方。

簡単ですが構想のアウトラインを書いてみました。このような研究会を実現するに当たって具体化すべき点や検討し直すべき点などご意見もいただけると助かります。

参考:日本英語医療通訳協会
by saori_ishimaru | 2008-03-31 16:05 | Medicine
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