朝日新聞:『おおっぴら「医療」大麻』

a0057830_912275.jpg「マリファナ・ブック」
ローワン・ロビンソン著
オークラ出版

少し前になりますが、6月17日(木)付け朝日新聞朝刊に『おおっぴら「医療」大麻 危機感乏しい米社会』という記事が掲載されていました。いわゆる大麻Cannabis sativa(マリファナ)*に関するもので、医療用大麻という名目で大麻が容認されることでの米社会全体への影響やその危機感を訴えた内容でした。医療大麻が認められている14州のうちのひとつカリフォルニア州では、この11月に住民投票により用途を問わず大麻の合法化に関する是非と問うことになるそうです。

そもそも医療用大麻とは何かということに興味をもったので、上記の「マリファナ・ブック」を読んでみました。こちらは全編に渡ってマリファナ擁護の視点で書かれています。内容の信憑性をどう受け止めてよいかは定かではありませんが、精神作用については大麻が古代から宗教で用いられてきたことや過酷な労働をしいられた初期の移民や奴隷が使用していたことを示唆したり、航海時代の麻ロープを始め紙や繊維原料としてある時期まで大麻栽培が一大産業だった歴史と法制度の改訂に伴う産業の衰退を辿ったりしています。なんと20世紀初頭に大麻をつかったバイオマス構想が既に存在したとか。

そして医療における利用(緑内障、ガンの化学療法における副作用(嘔吐)の緩和、痛み、炎症、うつ、不眠症などなど)を挙げています。朝日新聞の記事によると、現在、カリフォルニア州では医療大麻の適用疾患を定めていないので、医師の指示があれば、大麻処方所から簡単に手に入れられるとか。これらの疾患・症状の全て当てはまることになります。

*このリンクは1931年にイギリスで出版されたMrs.Grieveの'A Modern Herbal'にて紹介されている大麻C.sativaにつながります。ここでは、20世紀初頭の記述であり現代医学には即していないという注意書きが添えられていますが、疼痛緩和と催眠作用があり、適用として神経痛、痛風、リウマチ、不眠などがあるとされています。少なくてもその時代のハーバリストにはそのように認識されていたことが伺えます。

a0057830_99740.jpgこのC.sativaは、大麻が合法であるオランダ・アムステルダム植物園で撮影したものです。大麻の合法化には賛否両論がありますが「マリファナ・ブック」によると、「オランダは、大麻の合法化に当たり、薬物乱用が起きる一要因であるドラッグ以外の社会問題(貧困、スラム街、人種差別、社会福祉授業へのアクセス)も重んじている」(本書より引用)そうです。

ちなみに「マリファナ・ブック」の巻末には、「日本の大麻」という付録がついていて日本人の生活に身近な(大)麻の歴史と利用法が紹介されています。江戸時代にはマグロをつるのにも麻を縒ったものが使われていたとか面白い話がいくつかありました。

植物療法ではヘンプオイルが注目され、私たちはその恩恵に授かっています。私たちに有用な植物だった大麻に危険な悪者のレッテルを貼られたのは、人間が使用法を誤ったから。「ヘンプ」として私たちの生活に再び浸透しつつある大麻を、今度は大切に使っていきたいです。
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by saori_ishimaru | 2010-07-04 05:34 | Books
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