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Report: 植物標本

ハーブ医学においては、病名に合わせてハーブを選ぶのでなく、個々の患者さんの症状にあったハーブを使いこなすことが基本です。

そのためにハーブの特徴を様々な角度から知ることが手助けになります。剤型による含有成分の変化や味覚、臭覚への刺激、身体への作用に加えて、その植物自体を知ることがしばしば助けになります。

例えば、その植物がどの科に属するのか、木本なのか、草本なのか、葉や花、実の色や形、つき方、使用部位、自生地、生息に適した土壌などを知ることが、ハーブの特徴を理解する手がかりになります。

イギリスに生息している植物でしたら、できるだけ自分の足で歩いて、季節ごとに変化を観察するようにしています。しかし、実際にイギリスのハーブ医学で使用されているハーブの中にはアフリカの乾燥地帯や東南アジアの亜熱帯地域にのみ生息する植物もあり、そういった植物を知るためには、写真や絵又は植物標本に頼ることになります。

今回、サイエンスフェスティバルの一環として一般公開がおこなわれたエジンバラ王立植物園で、膨大な植物標本のコレクションを見学することができました。





植物標本とは基本的には採取した植物を退化しないように乾燥または化学物質を使って保存した状態を指します。

生息地と科ごとに分類された棚のそれぞれの引き出しには、平面状に乾燥された植物が紙に貼り付けられているものに加えて、立体を保ったまま乾燥させた果実や枝、アルコール溶液を用いて立体的な構造を保った花などが保管されていました。

また、その植物本来の姿をより伝えるために植物解剖図、電子顕微鏡写真、色彩のほどこされた絵などが合わせて公開がされていました。普段は植物標本の代わりに、こういった写真図鑑などを利用することになりますが、葉や花、実などの特徴とその植物全体の様子をを載せているもの(「ハーブの写真図鑑」レスリー・ブレムネス著)、科ごとに分類されていて、その科の特徴をつかむのに適しているもの(「ハーブ大全」リチャード・メイビー著)、使用部位が主に表記されているもの(‘The Encyclopedia of Medical plants’ by Andrew Chrevallier) など違ったタイプの書籍を揃えるとよいかもしれません。

最後に自分の足で歩いて、書籍から得た知識を確かめてください。季節ごとに同じ場所を訪ねることで、その成長の過程を知ることもできます。植物の触感や香りを楽しんで自分だけのハーブとの関係を深めてみてください。
by saori_ishimaru | 2005-10-21 17:38 | Herbal Medicine
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