Internal/External: グリセリンチンキ剤 その2

グリセリンチンキ剤 その1に引き続き、今回はグリセリンチンキ剤とよく比較されるシロップ剤についても少しお話しします。

よく考えてみると、なんでシロップ剤なのでしょう。甘くて粘性がある性質や作用もにかよっているからでしょうか。私はどちらかというと(アルコール)チンキ剤に近いという印象を持っています。

前回、グリセリンチンキ剤の作り方を大きく分けて2通り紹介しました。1)浸剤又は煎剤にグリセリンを足す方法、2)ハーブとグリセリンをしっかり漬け込む方法。実は、この1)はシロップ剤を作るとき、2)は(アルコール)チンキ剤を作るときと同じです。このことから私はグリセリンの甘さやとろみでなく、アルコールとしての性質にも注目しているからいつも2)で作っていたことが判明しました。

グリセリンチンキ剤とシロップ剤を比べると



以下の4点が挙げられます。
ア)どちらにも共通して甘味と粘性がある。
イ)シロップ剤は血糖値に影響するけれど、グリセリンチンキ剤はしない。但し、両方ともそれなりにカロリーはある。
ウ)グリセリンチンキ剤は外用にも用いるが、シロップ剤は内服のみ。
エ)シロップ剤に向くハーブは呼吸器系の症状にもちいるもの、粘液質が多いもの。イギリスでは伝統的に民間療法でビタミンC補給にローズヒップシロップが使われているそうです。そしてグリセリンチンキ剤に向くのは精油成分をたっぷり含んで芳香のたかいもの。

実例で考えてみます。
例えば、タイムのシロップ剤かグリセリンチンキ剤を使いたい時にどうするか。現実問題グリセリンの方が単価が高いのと、水分を吸水しやすく保存性が低いため、シロップ剤を作ります。あまり説得力がありませんが...卒論で現役ハーバリストにアンケートした時にもそんな回答が多くありました。

次に、エキナセアのグリセリンチンキ剤が必要な時に、手元にグリセリンがないので、即席でエキナセアのシロップを作るかと言われるとそれはしません。きっとエキナセアのチンキ剤で代用します。それは浸剤をベースにしたシロップ剤より、アルコールの性質をもつグリセリンで抽出したグリセリンチンキ剤の方が効果的だと考えるからです。

今はハーブの効果についてで手一杯なのか、剤型による効果の違いが世の中で重要視されていないのか、こういうひとつのハーブの違う剤型を比較した論文はほとんど存在しません。結局、結論付けに十分な根拠はありません。とはいえ理論上だけでなく経験からも情報は蓄積されるので、自分でいろいろな剤型で効果を比べてみるのも面白いと思います。

次回は卒論のアンケートで出てきたグリセリンチンキ剤の面白い使い方を紹介します。

シロップ剤
まず、シロップ剤とは「基本的には砂糖と浸剤(又は煎剤)を1対1の割合で加えた製剤」です。日本薬局方にもそのように載っています。お砂糖は甘味を与えるだけでなく、粘膜をしっとりと潤わす作用やシロップ剤自体の保存性を高めています。シロップ剤が向く症状は痰が絡んでいる時、咳が止まらない時、硬いコロコロした便が原因でお通じの無い時、そして子ども用に甘味が必要なときです。タイム、チェリーバークやマーシュマロー根などから風邪シロップがよく作られます。
*お砂糖が血糖値に影響が与えることは注意して覚えておいて下さい。

使い方は、用いるハーブや症状によって異なりますが、成人で小さじ1杯(5ml)程を直接又は水で薄めて1日3回飲んで下さい。保存は冷暗所で9ヶ月から1年程です。

さて作り方ですが、使用部位や性質により2通りあります。基本的には1)でいけますが、粘液質を多く含むハーブには2)が適しています。
1) 煎剤を用いる
フタのある鍋を用意し、ハーブと適量の水を加えとろ火にかけ、元の水量の3分の2程になるまでに煎じます。濾した液を計量し、同じ重さの砂糖を加えよく撹拌します。
2) 冷浸剤を持いる
ハーブに適量の水を加え一晩(半日程)放置します。濾した液を計量し、同じ重さの砂糖を加えます。
*実際に作る時は白糖ではなく、精製していない砂糖を使用したり、分量を増減らしたり、蜂蜜を代わりに使ったりそれぞれのハーブになじみのいい状態にします。
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by saori_ishimaru | 2008-04-05 15:53 | Herbal remedies
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