人気ブログランキング | 話題のタグを見る

article:朝日新聞「僧侶が医学部で異色の授業」

11月14日(金)付けの朝日新聞夕刊に「僧侶が医学部で異色の授業」、医師の「役割」を考える、「共感・共苦の大切さ 伝えたい」というタイトルの記事が掲載されていました。

これは慶応大学医学部で行われている3年生向け自主選択科目の一つ「期待される医師像とは」という授業での取り組みです。「治療が尽きたとき、医師は何ができるのか。そんな答えのないテーマを考えてもらう。患者や家族の揺れる心を受け止めることの難しさと大切さを伝えている。(本文より)」

授業を担当している戸松義晴さんは、アメリカの神学大学院に留学中に生命倫理や医療倫理の問題に感心をもち、医学部の授業にも出ていたそうです。そこで、患者役の役者を使った疑似体験型の授業を学びました。その経験を元に、医学的知識の詰め込みだけでなく、患者さんを受け止めて共感することの大切さを伝えていらっしゃいます。

母校の薬学部でも模擬患者を使って技術だけでなくより実践的な経験を積んでもらうカリキュラムが増えています。(以前「模擬患者」にて紹介しました)

イギリスのハーブ医学コースでも、臨床カウンセラーや経験を積んだメディカルハーバリストによる生命倫理、医療倫理の授業がありました。理屈では通せないことを臨床でもたくさん経験しました。

今学んでいる医療通訳の授業でも倫理観は大切なキーワードです。通訳として重篤な病状を告知することもあるからです。感情的に引き込まれてしまっても困ります。

薬学部時代はどうやって正しい答えを導くか。決まった答えを求める授業が多かったと思います。答えのないことですが、自分なりの考えや意見をしっかり持ち、主張し実践していくというのはイギリスで身に付きました。医療に関わっていく日本の学生さんにも多く経験していただきたいです。それが臨床にでてからしっかりと自分をもって取り組んでいく糧になるはずだから。
by saori_ishimaru | 2008-11-14 09:39 | Medicine
<< ネイチャーゲームを体験しました article:WHO、伝統医... >>