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study group:リンパ浮腫

横浜市で、ホリスティック医学に基づいた健康サポートに取り組んでいる医師、代替療法家、その他健康に関わる各専門家たちの地域医療ネットワークで行っている勉強会に参加しました。

今回はリンパ浮腫とリンパドレナージュについて。千葉県にある病院でリンパ浮腫のケアに取り組んでいる看護師さんが講師になって勧められました。

実は、イギリスのハーブ医学コースにて卒論でこのテーマに取り組んだクラスメイトがいて以前にも触れた話題でしたが、実際のところ何も分かっていませんでした。卒論は、もともとリンパドレナージュを専門的に行っていた経験にハーブでのアプローチを組み合わせたケーススタディについての発表でした。(後日、本人の許可が取れたら卒論をアップしたいと思っています。)

リンパ浮腫に関連した記事を地域医療ネットワークから送っていただいたので、ここに転記します。昨年9月の読売新聞に連載されていた「リンパ浮腫」の記事から。




☆普及遅れた国際的治療法

 「丸太のようにかちかちに腫れ上がった腕が、治療を始めると目に見えて細くなりました。良くならないとあきらめていたのに……」女性は10年前に乳がんの手術を受けた。5年前から右側の腕や手が腫れ、年々太くなった。指まで腫れるので家事ができない。

 乳がんの手術が原因で起きたリンパ浮腫だった。手術や放射線治療でわきの下のリンパ管が傷ついて、流れが悪くなり、腕にリンパ液がたまってむくむ。子宮がんや前立腺がんの治療で足がむくむこともある。

 いくつもの医療機関で、指圧や電気刺激を受けたが良くならない。近くの医師の紹介で徳島市の「リムズ徳島クリニック」で治療を受けられることを知った。同クリニックは、重症のリンパ浮腫患者の入院治療を行う、全国でも珍しい施設だ。入院すると、女性は「複合的理学療法」という治療を毎日受けた。

 腕をよく洗って清潔にした上で、理学療法士から腕にたまったリンパ液を体に戻すマッサージを受ける。続いて、弾力性のある包帯を何重にも巻いて患部を圧迫。その後、腕の屈伸など軽い運動をする。退院後、自宅でもできるように、マッサージや包帯の巻き方など細かい指導を受けた。

 「一晩で3~4センチも細くなりました。まるで魔法の包帯みたい」と女性は目を細める。「複合的理学療法」はリンパ浮腫治療の第1選択肢として国際的に認められているが、国内での普及が遅れた。入院患者のほとんどは、いくつもの医療機関を転々としている間に悪化した経験を持つ。

 がん専門医には「命が助かったのだから、後遺症は仕方がない」という意識が強く、「治療法はありません」と言われた患者は多い。

 こうした混乱を解消しようという患者会の働きかけなどで、今年4月から乳がん、子宮・卵巣がん、前立腺がんの手術を受ける際に、リンパ浮腫治療の指導が保険で受けられるようになった。リンパ浮腫患者が日常的に身に着ける治療用のストッキングやスリーブ(袖)も保険適用になった。

「リンパ浮腫は、早期に治療を始めるほど重症化を防げる。がんの治療を受けた時から知識を持ち、迷うことなく適切な治療にたどりつける人が増えると良いと思う」と話す。


☆ストッキング合わず悪化

 がんの手術などでリンパ管が傷ついて、手や足がむくむリンパ浮腫。むくみを抑えるためには日常的に圧迫力の強い医療用のストッキングやスリーブ(袖)などを身に着ける必要がある。ストッキングは1枚1万~2万5000円、腕用のスリーブは1枚6000~1万6000円程度。着用を続けると伸びて圧迫力がなくなるので、数か月に1回は交換が必要だ。

 2008年4月から、乳がんや子宮・卵巣がん、前立腺がんなどの手術後にリンパ浮腫を発症した場合、ストッキングやスリーブなどに保険が適用されるようになった。医師が書いた指示書と領収書を健康保険組合(国民健康保険の場合は居住地の市区町村)に提出すると、自己負担分をのぞく費用が現金で還付される。

 リンパ浮腫への認知が広まり、治療が受けやすくなった。だが、誤ったストッキングを使用し、かえって悪化する例も増えている。

 埼玉県の主婦A子さん(70)もその一人。4年前、子宮がんの手術を受け、数か月後から右足が太くなり始めた。昨年暮れから通い始めたがんの専門病院で、医師に指示書を書いてもらい、治療用ストッキングを購入した。はいているうちにストッキングの端が太ももに食い込み、足が「れんこんのように」(A子さん)変形した。むくみはおなかにも広がり始めた。「このままではかえってひどくなる」と、危機感を持ったA子さん。リンパ浮腫を専門的に治療する後藤学園付属マッサージ治療室(東京・大森)を本で知り、通い始めた。初診の説明で、購入したストッキングの形が適切でなかったことが初めてわかった。

 A子さんのはいていたストッキングは、太ももまでのものだったが、本来のリンパ浮腫治療のストッキングは足から腹部まで連続する形が基本。太ももまでのものだと途中でリンパ液の流れが止まり、足のむくみが改善されないばかりか、腹部や外陰部にむくみが広がることもあるという。

 まず、たまったリンパ液を減らすマッサージや、包帯を巻いて患部を圧迫する治療を受け、ある程度足を細くしてから、適切なサイズと圧迫力のストッキングを選ぶことになった。

 足の静脈瘤(りゅう)など別の病気の治療用ストッキングを使用し、悪化する患者も増えている。「保険適用をきっかけに、知識が広まり、全国の医療機関で適切な処方が受けられることを願っています」


☆保険適用 がん手術後だけ

 大阪府泉佐野市の森洋子さん(59)は小学生のころから右足が左足より少し太いことに気づいていた。「足の血管の問題だと思うが、命に別条はありません」と医師に言われていた。

 ところが、13年前に突然、右足が炎症を起こして腫れ上がった。入院した病院でリンパ浮腫だと初めてわかった。手や足にリンパ液がたまってむくみ、多くはがんの手術後に起きる。森さんの場合は生まれつきリンパ管の流れが悪い「原発性リンパ浮腫」だった。

 今年4月、念願の保険適用が実現したが、子宮・卵巣、前立腺、乳がんなどの手術でリンパ節を取った後のリンパ浮腫に限定された。

 リンパ浮腫は、「原発性」や、交通事故などのけが、がんの放射線治療後にも発症することがある。「あすなろ会」の会員928人のうち、85人はがん手術以外が原因だ。「同じ治療が必要なのに、発病の原因で分けるのは納得がいかない」という。

 別の患者会で、7年前から保険適用を求めて署名活動を続けてきた「リンパの会」も「すべてのリンパ浮腫患者が対象になるよう働きかけたい」と話す。

 また、リンパ浮腫の治療には、手足にたまったリンパ液を体に戻すマッサージや弾性包帯を巻いて圧迫した上での運動療法、スキンケアなどを合わせた「複合的理学療法」が有効だが、保険適用になっていない。

 マッサージなどの治療にかかる費用は、施設や時間によって違うが1回5000円~1万数千円かかる上、施設が少ない。リンパ浮腫に詳しい松尾循環器科クリニック(大阪市)院長の松尾汎(ひろし)さんは「治療全体への保険適用を求めるとともに、専門家の育成が急務だ」と話す。

 患者会
 ・「あすなろ会」大阪0724・69・4190(月水金10~16時、21時以降)東京03・5284・6072(月~金20~22時)※いずれも祝日を除く
・「リンパの会」03・3207・0635(火金13~16時)


☆緩和ケアにマッサージ

 がんの末期にリンパ節に転移が広がってリンパ浮腫になることがある。終末期のがん患者が安らかに日々を過ごす緩和ケアの中でもリンパ浮腫の治療が注目されている。

 青森県上北郡の女性(79)は今年2月、二男(当時47)を肝臓がんで亡くした。昨秋にがんがわかった時はすでに周囲に広がっていた。年末、がんの激しい痛みが突然襲った。「苦しい、苦しい。この苦しみをどうにか取り除いてくれ」。通院していた十和田市立中央病院に駆け込み、入院することになった。

 仕事と育児で手が離せない二男の妻に代わり、泊まり込みで看病した。痛みは薬で治まったが、がんが腹膜や骨盤内のリンパ節にも広がり、両足がむくんできた。病院のリンパ浮腫外来の看護師、石川美帆子さんからむくみを減らすマッサージを習った。

 足の先から腰まで、リンパ液を戻すように優しくなで上げる。30分ほどすると張っていた足が柔らかくなった。「何もしてやれないから、これで楽になるんだば、いいと思って」と毎日、汗をかきながら息子にマッサージを続けた。

 二男は次第に食が細くなり、眠る時間が長くなった。そっと見守っていたある日、突然、目を開けて、「ばあさん、今日はもみもみしないね」とつぶやいた。その言葉は今も心に残る。「話すことも少なくなっていきましたが、息子も楽しみにしていたんだなと思いました」

 この病院のリンパ浮腫外来は、2006年に始まった。その前年、緩和ケアが専門の蘆(あし)野(の)吉和さんが院長に着任し、職員向けに講師を招いて開いた「緩和ケアセミナー」にリンパ浮腫治療の講義があった。感銘を受けた石川さんら看護師3人と作業療法士1人が、自発的に東京や青森市で研修を受け、設立した。研修費は病院が出してくれたが、交通費や滞在費は貯金をはたいた。

 外来は、たちまちリンパ浮腫患者の予約でいっぱいになった。今年中には1週間程度入院して集中的に治療するコースも始める計画だ。一方、末期がん患者の場合は、主に家族に治療法を伝授する。「触れ合う時間を共有することで家族の心の支援にもなるように思います」と作業療法士の新谷(あらや)亨さん。

 蘆野さんは「マッサージを受けることで非常に安楽な状態で毎日を過ごせる人もいる。緩和ケアの中でもリンパ浮腫治療は重要な要素の一つ」と話す。


☆[Q&A]早期発見が重症化防ぐ

 ――リンパ浮腫とはどんな病気ですか?
 リンパ液の流れが滞り、手や足などがむくむ病気です。最も多いのは、がん治療後にわきの下や骨盤内のリンパ管が傷ついて起きる場合です。乳がん患者の約1割が手に発症、子宮がん患者の約3割が足に発症すると言われています。生まれつきリンパ液の流れが悪い原発性の患者も1割程度います。大けがをしたり、末期がんでリンパ節に転移したりして起きる場合もあります。

 ――診断は?
 当院では、超音波検査で手足の皮下組織に水分がたまっているかどうか確認します。心臓や腎臓、肝臓、甲状腺、静脈の異常でむくみが起きることもあります。これらに異常がないのに、むくみが確認された場合、リンパ浮腫を疑います。

 ――治療は?
リンパ浮腫を完全に治すことはできません。症状を改善し、良い状態を保つ治療が主体です。国際リンパ学会では、第一選択肢として「複合的理学療法」を推奨しています。刺激の少ない保湿剤で皮膚を守るスキンケア、手や足にたまったリンパ液を体に戻すマッサージ、弾性包帯を巻く圧迫療法、圧迫下でリンパ液の排出を促す運動療法の組み合わせです。最も重要なのが圧迫です。専門の施設で治療を受けて習得すると、自分でもできるようになります。日常生活では、治療用の弾性ストッキングやスリーブ(袖)を着用します。軽症なら、これらの着用だけでも十分です。

 ――発症前から治療を受ければ予防できますか?
発症前に治療を始めても予防できるというデータはありません。けれども、早期に発見し、治療をすることで重症化を防ぐことはできます。リンパ浮腫の早期には皮膚が硬くなったり、厚くなったりします。乳がんなら二の腕やわきの下、子宮がんなどならそけい部、下腹部、太ももの内側の皮膚を日ごろからさすったり、つまんだりして左右差があるようでしたら、治療を受けた医師などに相談してください。

 ――4月から弾性ストッキング、スリーブなどが保険適用になりました。
医師に指示書を書いてもらい、いったん自費で購入し、指示書と領収書を健康保険組合(国民健康保険は居住地の市区町村)に提出すると、自己負担分以外が現金で還付されます。特定のがんの手術後に起きたリンパ浮腫のみに限られ、1年に2回、1回に2着までで、価格の上限があります。

 ――知識が乏しい医師も多いと聞きます。
医学生の教育カリキュラムの中にリンパ浮腫に関する詳しい解説がないため、十分な知識を得られずに医師になる人が大半です。保険適用で医師の関心も高まっていますが、根本的には教育カリキュラムを変える必要があると思います。
by saori_ishimaru | 2009-02-24 19:38 | Holistic Meidicine
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