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report:野生薬用植物のサステイナビリティを考える

先日ご紹介しました「地球の「薬箱」を救え!— ハーバリストが語るフェアでオーガニックな薬草とは —」 のセミナーに行ってきました。7月5日(日)のグリーンEXPOに加え、6日(月)には主催している
TRAFFICの企業向けのセミナーが開催されました。

日本で消費されている薬用植物の多くは海外から輸入されています。頻用されている薬用植物上位50種の内、国内生産が50%を超えるのはわずか6種のみだそうです。お隣中国の薬用植物資源の輸出総額でみると、日本が第1位だそうです(香港経由で入ってくるものも入れて)。そんな現状をふまえて、薬用・芳香植物を使っている製薬会社と化粧品会社、そして食品会社など企業向けにセミナーが開かれました。
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*セミナーのレポートをaromatopia96号(9月25日発行)に投稿しています。




まず、TRAFFICは野生生物の取引をモニタリングするNGOでその規模は世界最大です。IUCN(国際自然保護連合)とWWF(世界自然保護基金)の共同事業として設立されました。

今回のセミナーの主旨としては、野生生物の中でも特に野生の薬用・芳香植物が乱獲による絶滅の危機にひんしていることに関しての問題提起とその保護プログラムの紹介でした。2007年に制定されたISSC−MAP(薬用・アロマティック植物の野生からの持続可能な最終に関する国際基準)とその認証制度Fairwildについてです。

例えば、資料の表紙に写っているデビルズクロー。リウマチや関節炎の治療薬として注目を集めてから、世界中で需要が伸び、乱獲が進みました。根こそぎ取らないまでも採取後に残った根が枯れてしまい、危機に瀕していました。そこでISSC-MAPのプログラムで残った根に土をかぶせることを徹底したところ、絶滅や生育地の荒廃を避け、現在では継続して収穫出来るようになりました。デビルズクローがこんな植物だとは知らずに製品を消費し続けている私たちが考えるべきことはあると思いませんか。

薬用植物はその地域の天然資源であり、そこに住む人たちの収入源として活用されています。市場が拡大すれば、もっと売って豊かに暮らしたいと思うのは当たり前のことです。それによって家族が十分に食べることができ、子どもたちが学校に通えるようになった人もいっぱいいると思います。しかし、熟さないうちに収穫したり根こそぎ取ってしまったりと目先の利益に捕われず、将来的な計画の基で収穫を進めることを伝えていく活動を支えているのがこのプログラムです。それは収穫を進めている現地の方の責任でしょうか。豊かな暮らしのためにそうさせてしまっている私たちにもできることがあると思いませんか。

今まで知らなかったことでも、少し知ると意識が違ってきますよね。その変化が初めの一歩として大切だと思います。そうすれば、製品化されたものはきちんと活用して無駄のないようにしたいと思えます。当たり前のことだけれど、大切なことです。また、この秋にはFairwildの認証を受けた製品が市場に出回るようになるそうです。そんなものを選んで購入するようにすることもひとつかもしれません。
by saori_ishimaru | 2009-07-07 08:16 | Herbal Medicine
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